TEAM【風見に思う】

naomi


私にはどうしても風見が演じられた人物だとは思えないんです。
風見が登場したとたん、こみ上げる懐かしさ。
演じられた人物のはずなのに、ちゃんと数ヶ月の時の流れを感じさせて、
風見君は確かに存在していました。
そして、迫力の捜査態度。以前とは違うとり付かれたような執念を感じる。
取調室での風見の悲しげな顔は、どんな台詞より雄弁だと思いますし、
そして、なんて爽やかな笑顔をするようになったんだろう。
あの恋人に向けた笑顔。素敵でした。

そして自分と同じく(照笑)
「思春期を通過するのを戸惑っている(もしくは通過を拒否している)」
子供達を「何かしてあげたい」と「思い詰めてしまった」風見との再会が、
手放しで嬉しかったです。
クサナギ演じる風見は、1年分の成長を経て、確かに存在していました。
くやしいかな、やっぱり風見が実在の人物のように感じて
風見の言動に逐一どきまきしたり、いらいらしたり、心配したりしてしまう…
芝居の上手い下手なんて本当はどうでもいい。
どうしてもそう思わされてしまうクサナギの演技が、私は好きなんだよ。
悔しいけど。

おそらく風見が私にとって特別なのは、
今、自宅で開いている小さな塾に、かなり気持を注いでおりますが、 そのきっかけになった若い頃の私に、風見が酷似しているからなんです。 私には、犯罪者としての少年少女との出会いは無かったけど、 この子達、まかり間違えば中の誰かが人を殺すかも。。そう思った。
風見同様??「少年達を何とかしなくては」という思いにとり付かれたんです。

そんなわけで私は 今回の佐川しょういちくんが 犯罪を犯す前に出会って、 もっと前向きにすべてと取り組めるよう 仕向けられたらナ、という思いが強いんで
す。
佐川父子のシーン、悲しいですよね。
子供はお父さんしか見てないのに、お父さんは子供から目を反らすんだよなあ・・・
私は沢山見てます、そういう親。・・・悲しいことにね。
リュウタロウの正体にも、風見の過去にも私はショックは感じません。
少年の妄想癖も思い当たるし、進学校のああいった状況はかなり昔からありました。
けれども、見てショックを受けられた方が多いのかな。
ただ、ちょっと気になったのは、最近のことはわからないのですが、 かつて進学校のいじめは、親や学校にはばれないようにというのが常識(!)でし た。
だから、風見の制服やカバンが壊されているのは変に思いますが、 最近は変わったのでしょうか。

それでも、この作品を見た多くの人達が、 風見の過去やショウイチの告白にショックを受けたのなら、 この作品は私が思っている以上に価値があるのですね。
何度も見て、ようやく涙が出てきたのは、 眠い目をこすりながらオンエアをリアルで見ていたせいもあるけれど、 何度も見てやっと、話が心に迫った来たからかもしれません。

今回2001年のTEAMは、できれば、もうちょっと思い切って話を脹らませて欲し かったな。
丹波さんが「じゅんー」って息子の名前を呼びながら思いっきり甘い顔をしてるとこ ろとか、 風見君が綴さんとラブラブな様子とか、そういった風景も見たかったなあ。
風見の設定、面白いけど、 結局あれではナイーブな?風見の本領は発揮しにくいわけで、 それより、去年あんなに燃えていた風見が、なんとなくフ抜けた感じで あんなポストにいるのも気になるし。

語られた風見の過去は、ほんの一部分。
あれ?ご両親は?きっと風見との間にもっとドラマがあったはず。
味覚障害も、ただのユーモアじゃない、 きっとそこには悲しいドラマが隠されてるはず・・・それも見せて欲しい。
そして、季織さんの今と過去も是非、もっと教えて欲しいものです。

そしてやっぱりこの作品をこころゆくまで制作してもらうには TVでは問題が大きいのではないかと思います。
凶器となった血のついたバットを、 今回の犯罪少年のような、鬱屈したものを抱えた少年が自室のTVでそれだけを見たら、やっぱりそれが、少年犯罪の引き金にならないとは限らないのですから。

本当は風見に、犯罪にはこだわらず自由な立場になって、(文科省辞めて、先生する とか) 子供たちを見守って欲しい。
そう思うんだけど、それじゃあ TEAMのお話成立しないね。
だけど、そんなふうに思うのは、 風見君が現実にいて、今自分に何ができるか悩んでいるような気がしてならないか ら。
時に街をさまよいながら。。

TEAMは遅れ馳せながら、私が役者クサナギの魅力に気付いた(とり付かれた!) 作品です。
剛君本人も、「思い入れがある」とのことを雑誌で読ませていただきましたし、 それがはっきりと感じられる、今回の演技でした。
また、いろいろ不満めいたことを書きながらも、今回も十分考えさせられる作品でし た。
続編はできれば映画として見られれば嬉しいと思います。
R指定付き。中高生保護者同伴のみ可、くらいの条件付だといいのにな。
もうひとつ残念なのは、 剛くん、大事件のあったSMAPの夏コンを挿んで、 演技者として、表現者として何かが変わったのではないかと思うのです。
TEAMは6月の撮影。もう過去のクサナギですね。
やっぱり、熱を入れた作品ほど撮影直後に見たいです。

同じ西塚作品の「さよなら 小津先生」というドラマを今放映中ですが、 スタップも脚本もTEAMと同じと言うこともあって、 ほとんどTEAMの続編のように見えてしまっています。
TEAMの犯人少年役の 森山未来くんも しっかりレギュラーですし。
西塚さん自身も、雑誌で「TEAM」を意識して書いたようなことをコメントしてい ました。
幽霊とあだなされる小津先生。
これって、やるせなく、幽霊のように?街をさまよう風見と重なります。

なんだかずるい!!
もちろんTEAMの魅力は風見だけじゃないし、風見の内面の問題だけではないのですが、でも、どうしても今も自分のなすべき道を見定められない風見を、 「小津先生」の作品中に出てきて欲しい気がしています。



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