1999/12/20記

1999年、
2月大阪、3月東京。

「蒲田行進曲」のクサナギツヨシは、すごかった。客席で身体が震え、涙が止まらなかった。

「このすごさを、どんな風に表現したらいいだろう?」

そのための言葉を見つけられるだろうと楽しみにしていた数々の劇評で、クサナギツヨシは役者として高い評価を受けた。

しかし、「どうして」「なにが」すごいのか。

劇評を書いている人たちもそこには触れないか、あるいはきっぱり「わからない」と言い切っていた。

いつかはどこかで誰かがもう一歩踏み込んで分析してくれるはず、と待っていたが、いまだにそれを目にすることができない。
他方には「所詮アイドルファンの身びいき」で切り捨てて、再演を見ようとさえしない人たちもいる。

「どうして」「なにが」すごかったのかが知りたい、わかりたい。伝えたい。

ならば自分たちでその答えを探してみようと思った。

わたしたちは演劇評論家ではない。分析の論拠となるたくさんの知識や、あふれる語彙や、思いを伝える優れた技術も持っていない。

わたしたちのつたない分析を読んだ人が、

「そうではなく、こういうことではないか」
「そこの視点はもう少し変えてみてはどうだろう」

などと考えてくださり、

世の中に真摯な『役者・クサナギツヨシの分析』が増えてゆけば本望である。

身体の震えや流した涙はいつか消えてしまうけれど、きちんとした言葉で残したクサナギツヨシの評価は、ずっと、ずっと後まで伝えることができるから。

クサナギツヨシは、後世に残るべき、すばらしい役者だから。

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