「フードファイト最終回 感想」
〜これ以上食べられない。〜

松本 有紀


うー。
最終回の前に、「TVおじゃまんぼう」という番組で「フードファイト」最終回の番宣コーナーみたいなのがあって、ちらっとだけど、念願の(笑)、フードファイトの台本を映してくれました。

満の盆踊りのリズム、高まっていく。

満   「(食べる、食べる、食べる)」
岡村  「(食べる、食べる、食べる)」
満 「(食べる、食べる、食べる)」

盆踊りのリズムで食べる満と、ラテンのリズムで食べる岡村。

・・・こ、これって台本なんすか?(爆)

最終話の感想がこんなに遅れてしまいました。まぁはっきり言うと、最後の最後に、第一話を見たときの状態にわたしが戻っちゃったせいなんですけど。

つまり、話がぜんぜんわかりませんでした(涙)。

最終話がどんな風に破綻してたのか、川本がかなり詳しく書いてますので、わたしはそれ以上のことを書くのをやめようと思います。というか、それを細かく検証していく力もなくなるくらい、何がなんだかわかりませんでした。「どうしてそういう話になっちゃうの?」とかいうのも超越してました。

最終話は、この手の「ファイトもの・ヒーローもの」の王道を行くような展開だったとは思います。自分の命をかけてラストファイトに臨む男たち。リングサイドでそれを見守り、止めるのではなく、「戦うのよ」との思いで男を見つめる、それぞれを愛する女たち。

そして戦いに破れた最後の敵は死に、勝ったヒーローはいずこともなく消える。
「でも、わたしたちは信じてる。彼はいつかきっとまた、わたしたちのところへ戻ってきてくれる」

いや、そーなんだけどさぁ・・・なーんか違うんだよなぁ・・・。
この最終話に至るまでの道のりがあまりにもでこぼこだったので、この最終話を納得させるだけの基本設定がついにあいまいなまま最終話を迎えた感じがして、だからなーんかピンと来ないんです。

佐野史郎さんのHPで、カットされた最終回部分のことについて触れられていることは川本も書いてますが、わたしはあれを読んでほんとにびっくりしました。

「うへー、そんな大事なとこがカットされちゃってるわけ?」

会長の妻への思い(そこの根底に母への思いがあったこと)、フードファイトを開催していた理由、そんなの何も教えてもらってないから、この最終話、わたしには果てしなく「???」マークがついちゃったのだと思います。それがわかってたら、会長の愛憎がはっきりしてきて、もっとドラマ全体のテーマもはっきりしたんじゃないのかなぁ・・・なんでそこカットしたのかなぁ・・・

思えばフードファイトの挑戦者って、第一話の「テレビの大食いチャンプ」を除いて(あれはエキジビションマッチみたいなもんでしたからね(^^;;)、すべて、「愛に問題を抱えた人々」でしたよね。純粋に大食いだけができる人たち、じゃなかった。みんないろんな形の愛に苦しむ人たちだったように思います。

「フードファイト」って、満は食って食って食っていたけれど、でもこれって実は、それぞれの挑戦者たちのゆがんだ愛や、間違った愛や、あるいは愛の欠乏や、その愛ゆえの苦しみと戦って、それに勝ち抜いていった物語だったんじゃないだろうか、なんて今更思いました。そこをはっきりさせてくれてたら、「野島ドラマ」っぽい感じしたのになぁ。

そう、今回のこのドラマ、ぜーんぜん「野島ドラマ」でも「野島ワールド」でもなかったですよね。野島さんが何を伝えたかったのかがちっともわかんなくて、第10話だけかな?ちょっとそれっぽい感じがしたの。でもあの回があったせいで、最終話がまったく収拾つかなくなっちゃって・・・

でもこのドラマ、とても人をひきつけました。楽しませてくれました。
このドラマは「野島ワールド」としては失敗してたように思うのだけど、でも、役者の力が、このドラマをここまで面白いものに引き上げてくれてたんだと思います。

そしてその中心にいたよね、クサナギツヨシ。

失笑されるの承知で言っちゃおうかなぁー。

「クサナギワールドによる、野島ワールドの制圧」。きゃー。キュンキュン。

いや、でも実はわたし、今回のクサナギくんに対して、もの足りなかったと思ってるところもあるんです。

クサナギは、実にこまやかに満の哀しみや切なさを表現してくれました。「満、寿司を食べながら泣く」とかもしかしてそれだけしか書いてなかったんじゃないのかー、と思わせるようなステキな脚本から、よくぞあそこまでの満を見せてくれた、と思います。わたしたちを説得してくれた、と思います。

でも。

今回フードファイトを見ていて、クサナギツヨシの新しい表情っていうのを、わたしはほとんど見つけられませんでした。「TEAM」の時には、「うわ、クサナギってこの展開でこの表情出してくるんだ」って毎回驚いて、たまには背筋が寒くなるような感じだったんですけど、フードファイト、いい表情たくさんありました。ほんとにあったんだけど、でも、それはほとんど、「わたし、この表情(というかこの表現、というべきかもしれない)前に見たことある」っていうものだったんです。

無論、しつこいようだが脚本のせいだっていうのが大きい。クサナギに新しい表情を産ませるだけのふくらみが本になかったからなのは分かります。

でも、わたしは強欲な役者クサナギファンなので、クサナギツヨシの新しい表情を見たかったです。もっと、もっと見せて欲しかったです。今回はそういう点では、「クサナギ、貯金使っちゃったよなぁ」って思ってるんです。そこが一番残念なとこかなー。

その代わりといってはなんですが、フードファイトを終えるころから、クサナギくんからにおいたってきて隠し切れなくなってるものもまたあります。

それは、色気。

彼が持っていた少年の切なさは、フードファイトを終えて、見事に「男の切なさ」に変わったような気がします。まぁ、その後のバラエティとか見てるとまだまだ「あれれ?」なとこあるけど(笑)、でも彼の立ち居振舞いのはしばしに、以前からは考えられなかったような色気が漂っています。

これからのお芝居の中で、彼がその「自分の色気」をどう使っていってくれるのかを楽しみにしています。まぁ、キスシーンはもうどうでもいいですけど(笑)、でもクサナギくん、あえてそのシーンを避ける必要ぜんぜん感じないくらい、あなたの動きは色っぽくなってるんだよ。

「色気が加わった風見くん」ぐえー、想像するだけで心臓ばくばくしてきます。

あ、フードファイトの感想書いてるんだった。

井原満くん。3ヶ月ありがとう。楽しかったです。また会えることがあるのかもしれないけど、でも、とりあえず、さよなら。ほんとありがとう。

わたしはもう、おなかいっぱい。


「感想ファイト!」インデックスへ
「『フードファイト』特設掲示板」へ

Topへ

運営者宛メールはこちらへ