「フードファイト第三回 感想」
〜本日の味付け 味覚マヒ(爆)〜

松本 有紀

あんなに辛そうなカレー食べたら、「胃袋は宇宙」でも、そのあと腸がたまらんよね・・・

最初に申し上げておきます。以下、暴言多々あります。普段はタイトルの「味付け」で、その暴言具合をはかっていただこうと、最初からその意図でタイトルをつけていたのですが、今日はちょっとマヒ気味。
ドラマの感想ですらないです。あっちこっちと話がとんでます。

いやー、3回目にして今更「どうしたもんかなぁ」と悩みが深くなりました。
オンエアを見たときは、さらーっとみて、今回はお話にさほど破綻もなく、クサナギツヨシの撮ってもらい方はこの上なくかっこよく、石田壱成くんのマジシャンぶりは妖しく、筧さんは怪しく(爆)、恭子ちゃんはがるがる言いたくなるほどかわいく、りえちゃんはきれいで、「おおお、面白いじゃん」と思ってみていたのです。

なのに、もう一度見直したら、やっぱり「話」そのものにいろいろとひっかかって、そしたらそのことばっかりやけに気になっちゃって、で、「どうしたもんかなぁ」と。

どうもわたしは、どんなに大好きな役者さんが出ていようとも、「お話としての自分の好ききらい」っていうことが、何につけ一番気になるタイプなのだということがわかりました。「良し悪し」じゃありません。「好ききらい」です。で、そうなると、「どうしたもんかなぁ」と。

自分がお話そのものを好きな場合、それにからめて、その時々の役者さんの表情、心打たれるセリフなど、自分の心に残ったものを書き連ねていくことはいくらでもできます。

それを何度も何度も反芻することができます。

でもこのフードファイトでは、「いいなぁ」と思うクサナギの表情、セリフと、あの隙だらけ(結局言ってるし)のお話がどうにもこうにも自分の中でぎくしゃくして、自分の感情がすんなり同化していかない感じがします。

「どうして、そんなにそこでそんないい表情がだせるの?」「どうして、そのセリフをそんなトーンで言うことを選んだの?」それに対して、いつもなら自分で何らかの解答を、たまにこじつけ気味でも考えていこうと思うのに、それをする気力を奪われてしまうのです。

でも、あれだけいい表情をいくつもだしてるからには、何か考えてやってるんだろうなぁ、クサナギツヨシ。次第次第に「表情」という点では評価すべきところが増えてるように思うし。

あの、隙だらけの(しつこい)台本の中に、彼は今、何を見つけて演じているのだろう。
それとも、台本の外に、何かを探しに行ってるんだろうか。フードファイトの途中で「シロ」を探しにいったように。

土曜日、フードファイトの番宣番組をやっていました。第2回のラーメン対決、クサナギは涙を流しながらラーメンを食べましたが、その番組によれば、あの涙は目薬ではなかったそうです。そしてあの番組の中で見る限り、クサナギツヨシは、さほど時間がかかることなく、あっという間に涙を流したように感じられました。

何を考えて、涙を流したのだろう。

クサナギツヨシの演技が好きな理由のひとつに、「ほんとうさをわたしに与えてくれる」というのがあります。芝居の中で見せる彼の笑顔、困った顔、泣きそうな顔、切ない顔。
それはすべてわたしに、この上ない真実味を感じさせてくれるから、だからわたしはクサナギツヨシの演じている姿が好きです。もちろん、その演技の後ろにクサナギツヨシ本人の姿を投影していきすぎることは、それはちょっと違うのかなぁ、という風にも思います。だいたい本当の彼、なんて知るよしもないんですから。ただ彼は、「ほんとうの自分(とわたしが思うもの)と演技している自分」のバランスの取り方があまりにも絶妙なので、見てるこっちはまるでつられたようなきもちになって、あげくにこっちは「ほんとうの涙」を流してしまう、というようなそういう感じがずっとしてきました。そこに心地よさを感じてきたのです。

でもそれは、まずお話そのものにも自分の感情が同化できていたからなのだ、というのが今回ちょっと自分で分かったりして。

それでも、今回わたし的には隙だらけの(いい加減にしろ)脚本でも、きちんと、どこかしらでわたしの心を捉えるような表情を出してくるクサナギツヨシ。

「そりゃあんたがクサナギが好きだからでしょ」

その言葉だけじゃ片付かない何かを、感じてしまうのです。

でも、それは何なんだろう。彼は、何をどうやって、あの演技をしているんだろう。・・・これって、1999年12月20日くらいからずっと言ってることかもだけど(爆)

とにかく、そんな感じで今回はお手上げです。今までの3つの話の中では、第3話は一番しっかりしたお話だったと思えるのに。かえって、そうだからなのかなぁ、こういうこと考え出したの。

今日もう一度フードファイトを見直しながら、スティーブン・キングの「スタンド・バイ・ミー」のことをぼんやり思い出していました。

その中に、「パイ大食い競争」の話がでてくるんです。ある夏の日、仲良しの少年4人が「死体探し」の旅にでる。森で一夜を過ごすことになってしまい、火をたきながら、いろんな話をします。その中で一人の少年(後年小説家となる。キング自身の投影と思われる)がみんなにしたお話。実際にキングの若いころの習作なんだそうですが。
そのお話は、でぶ、でぶとバカにされていたある男の子が、村のパイ大食い競争にでて、自分をいじめてきた社会にヒソカな復讐を企てる、っていう話で、そのお話自体は、へたな文章で省略して表現しようとするとめちゃくちゃ汚い話になりそうなので、ちょっとやめておくんですが、でもわたしは、このスタンド・バイ・ミーという小説の中のこのちょっとした挿話が大好きなんです。

でぶの、大食いの男の子の、奇妙で、おかしく、哀しく、切ないストーリー。

どうせファンタジーであるのなら、あの、「パイ大食い競争」みたいな感じのテイストが、「ファイト」の部分にあったらいいのになぁ、なんて思いました。奇妙で、おかしく、哀しく、切ない。だってこれ、でぶかどうかを除いたら、なんだか井原満に似ていませんか?
 

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