「フードファイト 第二回 感想」
〜本日の味付け やや甘〜

松本 有紀


第1回で思いっきり「つまんない」と言い放ってしまったわたしが見た第2回。
今回、番組宣伝スポットで、マンガの切り貼りにクサナギとゲストの田口さんの写真をはめ込み、口からゴジラのようにラーメンを放射させてるような(書いてて意味不明だ・笑)不可解なものが流れていました。それでわたし、それを観て、「ああ、自分でどうしたもんだか分からんが、わたし、これ好きだ」と思ったのでした。自分の感覚自体に不安を感じさせるの、やめてください(笑)。

で、放送を見ました。観ている途中、自分で何度も、「ああそうか、そういうことか」と思いました。そういうこと、ってどういうことか、実はわかんなかったんですが、でも、何度も、「ああそうか、そういうことか」と思ったんです。

で、なにが「そういうこと」だったのか、その言葉を探すのにちょっと時間がかかってしまいました。
今でも、「これだ!」っていう言葉、見つけられてないんですけど、とりあえず運を天に任せて書き始めています。たかが感想書くのに、運を天に任させるのやめてください(笑)。

フードファイト、1回目を見たときにわたしの拒否反応が一番強かった部分は、「井原満のキャラクターのあまりの不安定さ」でした。裏の顔と表の顔、とかそういう状態じゃなかったでしょう、あれ。あれは、「人格障害の人の役を、なんの優しさも理解もなく演じた」と表現したいような感じでした。演じている彼の、役そのものから、「不快感」が伝わってきたのは、わたしにとってははじめての経験だったんです。そこが一番いやでした。「クサナギにもっと役を理解させてやってくれ、そういう脚本を書いてやってくれ」というのが一番願ったことでした。

そして今日の「そうか、そういうことか」。

それはつまり、
「でも、それ、無理でしょ」だったんです。

だってあのドラマって、クサナギに、「原作のない、マンガの主人公」演じさせてるんだもん。

役を、世界を理解しきれてないのは、理解、というよりも、「イメージを共有できてない」のは、作ってる側の人も一緒だと、そう思ってしまったんだもん。

テレビ作品になるほど、人気のあるマンガがあるとします。それはマンガとしてかなり成功を収めてるんだと思います。アニメーションで作るにしろ、実写で作るにしろ、そこには確かな、マンガ、という形の「絵」ですでに確実に表現されて、成功している世界が大前提としてあって、そこにいかにテレビ作品的な味付けをしていくか、っていうところが、テレビで見る面白さだと思うんですね。

そこの大前提がないんだもん。そりゃ無理だよ。

よく、「すんごい面白い夢を見たんだけど、それをほかの人に言葉で説明しようとしたら、ぜんぜんだめだった。あんなに面白かったのになー」っていうの、ありますよね、あの感じと似てる。

いい証拠になっているのが、「フードファイト」の部分です。初回は八百長、2回目に至っては、まだ2回目なのに、「ファイト」の部分がすでにどうでもよくなっていた。フードファイト、という競技そのものを活写することででてくる迫力、とか、面白さ、とか、そのものを、すでに作る側が放棄していた感じでした。大会社の地下室で行われる秘密ファイトのあやしさ、とか歳を取ることで失われた食欲を、競技を見ることで満たそうとする財界の大物たちの姿とか、そういうまっとうな基本設定、作ってる側も、もうどうでもよくなってませんでした?
せめてもの慰めが、そこで、無理にその場面を出そうとして、CGとかを使わなかったことだと思いました。あそこでラーメンをゴジラみたいに放射されたらかなわん。

しかし、ここまで言って。

わたしの第2回を見ての感想は、「面白かった」です。

なぜなら、「大前提ないから無理だよ」って言いながら、あのドラマの中に、微妙〜な、「あやしい〜(笑)」という感じが出てきていたから。
1回目では、井原と九官鳥にしかなかった「気味悪い感じ」が、ほかの登場人物に、ふんわぁりと波及していたから。わたしとしては、この「ふんわぁり」というのが結構大事なんですが、第2回は、ゲストも、お姫さまな子役も、園長先生も、会長夫人も、みんなみんなそろいもそろって、「へーんな感じ」になっていたからです。普通に芝居してるのに、よぉく観ると、全員地表から3センチ浮いているような、よぉぉく観ると、全員耳の形が三角だった、みたいな。

「おまえらなんかへんだよー」

この「なんかへんだ」を楽しみながら、見ることができると思い始めたからです。

そうなると、安心してクサナギツヨシの演技を語ることができます(笑)。
そもそもこのドラマを最初に見た段階で、野島さんから、「演技を語る、とかそんなことしても無駄、ドラマはただ楽しみなさい」っていうメッセージを与えられてしまったような気がして、そこもちょっとテンション下がってたもうひとつの理由だったのですが、「それなら楽しめるものを作ってくれよう」とちょっとダダこねてたんですが、でも、これで両方できるようになった。

第2回の井原満は、「表と裏の顔の使い分け」がずいぶん安定してきたと思います。わたしがあとひとつ願うとすれば、「裏の顔、すなわち彼の”クールでかっこいい部分”の表現に、クサナギ自身がためらわないでほしい」とうことです。多分かっこいい、以外に、今回の彼には「色気」も要求されているような気がするのですけれど、そして彼自身はそちらにもためらいを示しているような気がするのですけれど、「色気」の部分については、彼の天性持つ、「声の水分量の多さ」で、はからずも表現できてしまっています。

あとは、かっこよさ。
ほかの場ではいざしらず(笑)、今回あの場で、彼はヒーローなのですから、「かっこよさ」を表現できる役柄を与えられているのは彼だけなのですから、彼は「アイドル」が第一職業なのですから、そして念のため言っておくとわたしは彼をかっこいい、と思っていますから(爆)、そこの部分をきっちり表現してもらえたら、って思います。蒲田行進曲で、キスシーンから逃げた落とし前、つけてもらいましょう。あ、「キス」しろ、といってるわけではないのでこれもまた念のため。


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